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長い沈黙を破り、ついに登場したファルコム完全新作です。 ヴァンテージマスターは緻密な戦術シミュレーションであり、このソフトを評価する場合、基準を誤らないようにしなくてはなりません。ストーリー、音楽、グラフィックはこのゲームにとって「付加価値」に過ぎません。あくまでもゲームシステムこそが本来の評価対象なのです。 では、システムという面でヴァンテージマスターを考えてみましょう。 ヴァンテージマスターは、戦術シミュレーションの中でも特異な物で、「偶然性」の要素を排除しています。いわゆる「クリティカルヒット」や、攻撃ミス、突然のイベントなどといったものは一切ありません。同じ状況ならば、必ず同じ結果になるのです。 この点でヴァンテージマスターは、通常のシミュレーションよりも将棋に近い感じがします。将棋では、「相手の駒を取ろうとしたら偶然かわされてしまい、逆に取られてしまった」というようなことは起こり得ません。ヴァンテージマスターにおいてもそうした偶然による結果というものはありません。 さて、実際のゲームとしての完成度ですが、「完璧」と言って差し支えないでしょう。「駒」に相当するネイティアルの絶妙なバランスは見事としか言いようがありません。このバランスを崩さずにネイティアルの数を増やすのは不可能ではないか、と思えるほどです。 マスターの種類もバラエティーに富んでおり、申し分ない出来です。ただし、マスターに関しては追加も可能だと思います。 さて、ではシステム以外の部分はどうでしょうか。 ストーリーは比較的簡単で、それほどストーリー性を追求した物ではありません。 音楽はかなり押さえ気味です。 グラフィック的にもそれほど派手な演出があるわけではありません。 しかし、これらは邪魔にならず、なおかつゲームを盛り上げるよう意図されたものです。試しに音楽を別のゲームのものに入れ替えてみると、正直邪魔にしかなりませんでした。この点、ヴァンテージマスターの各要素はまさに計算し尽くされたものなのです。 このように評価基準をヴァンテージマスターが目指したであろう部分に合わせて考えてみると、過去最高レベルの作品と言えると思います。 今までにないファルコムの最高傑作を多くの方が体験するようお勧めします。 |