イース研究所8
研究題目:「冒険日誌と冊子本」

 
 イースVのマニュアルにのせられているプロローグと過去のシリーズのマニュアルを比較すると、アドルの冒険日誌に関する記述に微妙な食い違いがあることが分かります。
 たとえばイースVマニュアルにはこのような文面があります。

 この記念すべき第一の冒険は冊子本としてまとめられ、のちに「イース〜失われし古代王国」というタイトルがつけられた。 (中略) 「セルセタの樹海」「フェルガナ冒険記」「失われた砂の都ケフィン」「アルタゴの五大竜」などを始めとし、彼の冒険日誌から起こされた書籍は百余冊にも及ぶ。

 ここから考えると、今まで「冒険日誌」と言われていたものは、実際にはアドルが書いた日誌そのものではなく、それを冊子本としてまとめたものらしい、ということが分かります。しかも「失われし古代王国」という名前はその冊子本につけられた名前ですから、イース(1)のマニュアルのストーリーは冒険日誌自体を翻訳したものではない、ということになります。
 しかし、こうした冊子本の存在は今まで語られていませんでしたし、イース(1)の序文をいくら読み返してもそのことを表しているような文面は見つかりません。
 このことから、多くの場合、アドルの冒険日誌とそこから起こされた書籍は同一視されている、ということが分かります。確かに、アドルの冒険日誌の原本を世界中の人がまわし読みした、ということは考えられないので、冊子化されたものを人々が読み、それを指して冒険日誌と呼んでいたのでしょう。
 イース1の場合、わたしたちが目にするまでにこのような経路をたどっているわけです。

アドルの冒険日誌
(題名は不明)

冊子本
(のちに「イース〜失われし古代王国」と名づけられる。この段階では小説ではない)

翻訳
(出だしは小説、本編はゲームとなっている)

 これはパソコン版における経路ですから、他のイース(1)が異なる経路をたどって伝えられたものならば、その間に話の細部が変化するのもうなずけます。
 イースエターナルにおいて冒険日誌の説明がさらに行われれば、こうした点に関して、よりはっきりとすることでしょう。



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