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イース2ストーリーの盲点
神 官 の 誤 解
 
 イース2において、ストーリーの理解を困難にしている最大の要素は「神官の誤解」です。六人の神官は、ストーリーの重要な部分に関する情報をアドルに与えます。ところが実は、その情報の大部分が不正確なのです。
 たとえば、本を返還したときにハダルやファクトは「魔の元凶はサルモンの神殿に存在する」と語り、アドルがサルモン神殿へ向かうよう導きます。しかし、よく思い出してください。この時、魔の元凶ダームはどこにいたでしょうか? 最後の決戦の場所、地上にある廃坑最深部、女神の間の奥です。
 では、神官たちはなぜアドルに間違った情報を教えたのでしょうか? それは彼ら自身が真実を完全には把握していなかったからに他なりません。
 イースの本の内容をよく思い出してください。彼らは、黒真珠とダームが同一の存在であることも、女神たちが姿を消したのが黒真珠を封印するためであったことも知らなかったのです。神官たちが知るのは、女神が姿を消し、災いが去ったこと。しかし、いつの日か災厄が再現される日が来るかもしれない、ということだけでした。
 ですから、神官たちは失われた黒真珠がまだサルモン神殿内にあり、魔物たちはそれを狙っているのだと錯覚してしまったのでしょう。
 事実は黒真珠こそ「魔」そのものであり、魔物たちが狙っていたのは黒真珠ではなく、二人の女神の力でした。
 最後まで真実を知らないままの神官たちは、限られた情報に基づいてイースの本を書き記し、そしてアドルをイースへと導いたのです。

 ここで疑問となるのが、復活した女神たちが神官たちの誤解をそのままにし、アドルをサルモン神殿に向かわせた意図です。アドルは地上ですでに銀の装備を揃え、最終的な敵ダームも地上にいました。単純に考えれば、天空のイースに向かわせる必然性はなかったはずなのです。
 しかし女神たちは、アドルの本集めを積極的に支持しているように見えました。では、アドルはなぜ、イースに向かう必要があったのでしょうか?
 その答えは、ゲーム内でははっきりと語られてはいません。ただ、導きの巻物によれば、女神たちもアドルをサルモン神殿へ向かわせようとしていたことは確かです。

 イースにいる神官の末裔を集合させるためでしょうか? しかし神官の子孫を集合させたのは女神たちで、アドルは関わっていません。
 イースを地上に降ろすためでしょうか? アドルはこれにも関わっていません。イースを降ろしたのが女神たちなのか、ダームなのか、ゲームからは判断がつきませんが、少なくともアドルでないことは確かでしょう。
 もしかすると、上の2点を女神たちが達成するために、アドルの力がどこかで間接的に関わっていたのかもしれません。たとえば、女神たちが行動する上で、邪魔になる魔物をアドルが倒していくことが必要だった、といったところでしょうか。
 あるいは、ダームとの戦いに勝つには、アドルにさらなる経験を積ませる必要があった、という解釈も成り立つでしょう。

 いずれにせよ、神官たちが誤解によりアドルをサルモン神殿へ導いたことは、女神たちの目的にも符合していたため、あえて神官たちの誤解を解こうとはしなかったのでしょう。
 面白いのは、女神たちは「導きの巻物」を託すため、アドルより先に神官ファクト(順序によっては、別の神官の場合もある)の元を訪れていることです。そのファクトでさえが、災いの源がサルモン神殿だと語っています。これは、女神によって断片的に与えられた情報を誤解したものなのかもしれません。恐らく神官たちはアドルをサルモン神殿に導くよう指示を受け、魔の根源がサルモン神殿にあると錯覚したのかもしれません。

 こうした点を意識して、イース1・2をプレイしなおすと、女神と神官たちの新たな一面が見えてくるのではないかと思います。 inserted by FC2 system