イース研究所 1
研究題目:「THE DAWN OF YS」
 
 今回は、PCエンジン版イース4のシナリオについて考えてみたいと思います。このソフトはファルコムとハドソンが共同で開発しました。
 PCE版イース・シリーズの続編として申し分ない完成度を誇る本作品ですが、残念なことに原作であるパソコン版のストーリーとは整合しない作りとなっており、ストーリーにおいて多少の難点も存在します。
 
 まず初めに、原案との相違点について整理しておきます。
・原案サブタイトルは「MASK OF THE SUN」。
・ファルコム原案で村の名前は「高原の村」「風の村」「大河の村」のように記述されているが、「高原の村」以外は不採用。
・情報屋デュレンが闇の一族の出身という設定もSFC版や小説版には見られない。恐らくはPCエンジン版のオリジナル設定。
・SFC版、小説版は共に、大地、月、太陽の三つの瞳と仮面が存在している。それに対してPCエンジンでは、瞳は登場せず、仮面も二種類のみ。マスク・オブ・アイズを月の仮面にしているのもPCエンジンのオリジナル設定。
・「クレーター」などマップの案はかなりの部分が不採用。
 これらの変更は簡素な原案から作品の制作過程において必要な行程です。
 ただ、それに伴いストーリーに矛盾とも思えるような部分、パソコン版と整合性のない点が発生してしまっているのが残念です。
・ダルク=ファクトは本当はジーク=ファクトでダームも彼が作り出した、ということだが、神官ファクトが生きていた時代(700年前の魔の襲撃時)にダルクもいたのなら、ファクトの子孫ではない可能性が高い。そもそも、なぜ彼は「魔」を解き放すのに700年も待つ必要があったというのだろう?セルセタの文明を滅ぼしたような大魔道師がクレリアを自力で掘り出すことができなかったというのだろうか…。
・パソコン版と異なり、ミネアの裏側にバルバドの港が直結している。
・パソコン版では暗殺されたはずのサラが登場している。
 PCエンジン版に限らず、SFC版や小説版においてもベースとなっているのはPCエンジン版です。結局のところ、原作であるパソコン版の続編と言えるイース4は今のところ存在しないようです。
 PCエンジン版イース4の完成度に不服はないのですが、原作と整合しないイース4しか存在しないと言う現状は残念な限りです。いつの日かパソコン版の続編としてのイース4を開発してもらいたいものです。
 
 
戻る
inserted by FC2 system