WANDERES FROM YS
−YS III−

 日本ファルコムが直接移植したイースIIIの中で最後のものが、このX68000版です。PC-88、PC-98、MSX2といった他のハードに比べて、X68000の機能は非常に高く、本作は移植にあたってかなりのパワーアップが図られています。
 パッケージデザインも他機種と大きく異なっており、X68000版はそれまでの移植とは別物である、という意気込みが伝わってきます。

 特に大きな強化点は、グラフィックとBGMということになるでしょう。
 グラフィックは256×256ドットという低解像度ながら、256色用に描き直されており、非常に鮮やかな画面となっています。イースIIIのサイドビューのシステムでは、遠景が画面の大半を占める場面が多いので、効果的な強化点と言えるでしょう。
 ただしグラフィックに関しては、スクロールを主にハードウェアの機能によって行っているらしく、多重スクロールの枚数が減ってしまった点が残念なところです。その分、ドット単位のスムーズなスクロールとなっているので、PC-88版のスクロールがカクカクしていて気になるという人には改善点と言えるでしょう。
 BGMについては、X68000の音源に合わせてアレンジされており、新曲も数曲追加されています。PC-88版のサントラとは別に、X68000版のサントラが発売されたほどですから、完成度はかなり高いと思います。ただ個人的には、エンディング曲は「Wanderers from Ys」のままの方が良かった気がします。

 ゲームシステムやシナリオに大きな変更点はありませんが、それまでの機種でラスボスの弱さが指摘されていたためか、ラスボス戦には大きく手が加えられています。特にHARDモードの場合には、SFC版やメガドライブ版をクリアできた人でも、かなりの苦戦を強いられることでしょう。あまりラスボスで苦労したくない人は、HARDモードは避けておいた方が無難かも知れません。

 イースIIIはこのX68000版の後にも数多くの移植が行われてきましたが、未だにX68000版を上回る完成度を持つものは見当たりません。そして「フェルガナの誓い」はシステム・シナリオが全くの別物となっており、イースIIIの移植とは異なるものでした。
 ですからイースIIIの移植のうち、最も完成度が高いのは現時点でもX68000版であると言って良いでしょう。ちなみに現在プロジェクトEGGでの販売が始まっており、Windowsパソコンでもプレイすることが可能です。
▲解像度が低いので文字は大きめ
ここは雲のスクロール枚数が多い
▲巨大な炎がX68Kの見所の一つ 
▲宝珠の範囲外は敵が見えない 

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