ザナドゥ(X1版)

 ザナドゥという作品は、ジャンル分けをするならアクションRPGということになると思いますが、かなり独特のシステムとなっています。
 ゲーム開始直後には、初期所持金をパラメータに割り振るトレーニングラウンドがあり、その後、地下10階層からなるダンジョンに挑むことになります。各階層内にはさらに「塔」があり、塔内にはデカキャラが出現する場所もあります。
 本作の最大の特徴は「有限である」ということではないかと思います。たとえばザナドゥでは敵の数が有限です。これに伴い敵から得られる経験値やアイテムやお金も有限となっています。このためキャラクターの育て方を間違ったり、アイテムを使いすぎたり、買い物が不適当だったりしたときに、取り返しがつかない状態となってしまうこともあり得ます。
 この「有限」であることを実現するために、モンスターの状態や、マップの変化など、メモリ上で管理されている大半の情報が、セーブ時にユーザーディスクに保存されるようになっています。当時としては、かなり大きな保存データ量だったのではないかと思います。
 また別の特徴として、装備やアイテムにもそれぞれ経験値があり、使い込んでいかないと本来の能力値になってくれません。従って最強の防具を手に入れても、(ダメージを受けないと経験値が入らないため)敵を全滅させてしまっていると本来の防御力を発揮させられずラスボスを倒せない、といったことが生じ得ます。
 このようにザナドゥは最初のプレイでクリアすることは困難なゲームです。むしろ何度も試行錯誤を繰り返し、最初からプレイし直しつつ自分なりの解法を見つけ出していくのが本来の楽しみ方でしょう。とは言え、現在では攻略情報を得た上でのプレイがおすすめです。それでもなお十分に歯ごたえのある作品だと思います。

 全体として当時としては完成度が高いものの、古い作品であることから、後のファルコム作品と比較すると様々な難点もあります。
 例えば動作速度は全般的に軽快なのですが、戦闘での魔法発動は妙に時間がかかります。その間、モンスターの動きも止まっているのでゲーム進行に不都合はないのですが、魔法を連発する場合はかなり戦闘時間が長くなってしまうのが難点です。
 また戦闘で、モンスターのHPが0になっても倒せないことがあるというのも違和感がありました。(おそらくHPがぴったり0になっても倒せず、倒すにはあと1ダメージ必要)

 最も気になるのは、塔以外の移動中に1キャラ単位でキャラの移動やスクロールが行われるため、同じような地形が続くと進んでいるのかどうかよく分からなくなってしまうことです。2段ジャンプ等の難しい操作が要求される場面が多いため、スクロールが分かりづらいのは大きな難点でした。

▲まずはトレーニングラウンドで初期パラメータを決める。
▲通常の画面はサイドビュー。
▲戦闘になるとトップビュー画面に。
▲塔内
は戦闘画面とほぼ同じ。
▲塔ではデカキャラ戦もあり。
▲アイテムの個数は数字が並んでいるだけで分かりづらい。
 細かなインターフェースも不便な点が多いです。持ち物表示でアイテムごとの所持数や経験値を確認できるのですが、ずらりと数字が並んでいるだけで、一覧表と見比べていかないとどれがどのアイテムの数字なのか分かりません。店で大量に購入する必要があるFood(食料)を、一度に少量しか購入できいといった問題もあります。
 このようにザナドゥが素晴らしい作品であることは間違いないものの、どうしても古い作品特有の問題があるため、プレイするのであれば、後のサターン版(ファルコムクラシックス)がおすすめです。

 なおX1版の独特の問題として、デジタルRGB(8色または16色)用のモニターでなければ正常に表示できない、という点があります。大半のX1のソフトは、(端子さえ変換できれば)15kHz対応のアナログRGBモニターに表示することが可能です。しかしザナドゥとロマンシアに関しては、アナログRGBモニターに接続しても画面が乱れてしまいます。背景を黒以外にしているソフトで生じる現象のようです。
 回避策としては、X1Gか、TurboZであれば、正常に表示可能なようです。他には、ビデオ出力付きの機種か、RFビデオコンバータ(CZ-8VC)のビデオ出力を利用すれば表示可能です。しかし、これらのビデオ出力は、とてつもなく画質が悪いという問題があります。
 X1でプレイしたいという場合は、表示方法があるかどうかにご注意ください。
 
 
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