イースI&II
〜Lost ancient kingdom〜


 X68000版イースと言えば、すでに電波新聞社による大幅アレンジによる移植がありますが、原作発売から30年以上を経て、まさかの原作忠実移植版がBEEPから発売されました。しかも、X68000初移植となるイース2もセットです。

 基本的な仕様は良くも悪くもPC-88版に忠実に移植されています。
 移植にあたって改良されているのは、ディスク枚数が1・2で各一枚にまとめられていること、ハードディスクにインストールしてプレイ可能なこと、画面スクロールが波打たなくなっていること、1で同じ装備品を何度も購入できないようになったこと、1のラスボス戦BGMがFM77AV版と同じ完全版になっていることくらいです。(スクロールはハードウェアスクロールではないので、1ドット単位のスムーズスクロールではありません)

 改良点以外では、原作スタッフが表示されなくなっておりオープニングやエンディングがかなり寂しいといった違いがあります。原作スタッフを表示できないのはやむを得ないとしても、移植スタッフはどこかに入れても良かったのではないかと思います。
 他にはセーブを(ユーザーディスクではなく)ゲームディスクそのものに行うようになった、という違いもあります。これは1ドライブでプレイ可能というメリットもあるのですが、原本のディスクにセーブするのは恐いので、ユーザーディスクも選択できるようにしてほしかったところです。

 操作性でとても気になったのが、ジョイパッドで方向ボタンを押しながらファイヤーを撃った場合の挙動です。ファイヤーを撃った直後に方向ボタンのいずれかを入力し続けると、方向ボタンを無入力にするまでの間、なぜかファイヤーを打ち続ける状態になってしまいます。
 どうやら方向ボタンと魔法ボタンの同時入力を正しく処理することができないらしく、歩きながらファイヤーを撃つということもできません。この場合、ジョイパッドでは歩くのが止まってしまい、キーボードではファイヤーが発動しません。

▲屋根のスクロールも波打たない。
 
▲イース2オープニング。スタッフ表示が無くなって、やや寂しいかも。
 
▲方向ボタンを押している間はファイヤーが止まらない。
 
▲サウンドモードあり。

 これらの現象は、ザコ戦ではあまり気になりませんが、正確な操作を要求されるデカキャラ戦ではかなり厄介です。PC-88版では生じない現象なので、X68000の仕様に要因があるのかも知れませんが、この部分は何とか対策をしてほしかったところです。(BEEP版イース3に収録されているアップデートパッチを適用すると、この不具合は修正されるようです)

 以上のような違いはあるものの、ほぼPC-88版そのままの状態で移植されていますので、電波新聞社版が性に合わなかった方や、何としてもX68000でイース2をプレイしたいというX68000ユーザーにはお勧めです。
 何より、このタイミングでX68000用に正式許諾を得た移植ソフトを発売するという挑戦自体がすごいことだと思いますので、今後のBEEPの活動にも期待してしまいますね。
 
 
inserted by FC2 system