那由多の軌跡

 本作はタイトルに「軌跡」と入ってはいるものの、ストーリーや世界観は独立した作品であり、空の軌跡との繋がりはないようです。システム面でもアクションRPGとなっており、軌跡シリーズとしては違和感があります。
 これまでにも英雄伝説シリーズでは、ときどき無関係の内容の新作をシリーズに加えてきました。しかしそれらは前シリーズが完結した後だったので、特に混乱することはなかったと思います。これに対して軌跡シリーズは2018年現在でも継続中である上、普通でもタイトルからは順序が分かりづらいシリーズなので、ほぼ無関係の作品に軌跡と名付けるのは非常に紛らわしいと思います。
 このようにゲームタイトルにはやや疑問を感じる本作ですが、ゲームの内容自体は非常に良くできた作品となっています。
 ゲームシステムはステージクリア型のARPGで、操作方法はSEVEN以降のイースに近いものとなっています。ステージごとにミッションが設定されており、ミッションの達成やアイテム収集などの成績によって評価が上がり、この評価に応じて技の追加などが行われるようになっています。このため一度クリアしたステージでも、繰り返しプレイできるシステムとなっています。
▲ステージごとに様々なミッション。
▲評価を上げて新たな剣技を習得。
▲離れた足場は位置が分かりにくい。

 やや気になったのは、視点やマップ構造の関係で、プレイしづらいところが時々あったことです。画面手前側へ進む場合に、道が続いているのか、穴が開いているのか分からず落ちてしまうことがよくありました。また空中に浮いている足場をジャンプで渡っていくマップで、足場の位置関係が画面からは分かりづらいことが多いです。落ちてもダメージを受けるだけで、ゲームオーバーになるわけではないのですが、こういう基本的な部分はもっとしっかり作ってほしいところです。
 最近のRPGは大作が増えていて、なかなか気軽にプレイできないのですが、本作はARPGということでサクサク進みますし、村が一つ出てくるだけなので、セリフを見てまわるのに時間がかかるということもありません。このためプレイ時間はクリア後の追加ストーリー部分を含めて35時間ほどでした。筆者の場合、一作のRPGで50時間超となってしまうと長すぎると感じるので、1週目はこのくらいが長すぎず、短すぎず、ちょうど良いと思います。(未プレイですが、2週目以降の追加要素もあるようです)
 ストーリーもファルコムらしく手堅い作りで、軌跡シリーズと関連のない完全新作というつもりでプレイすれば、問題なく楽しめるでしょう。
 PSPユーザーには、お勧めの一作です。
 
 
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