イース3
WANDERERS FROM YS


 ファミコン版イースの最終作イース3です。
 イース3と言えば、多重スクロールが大きな売りでしたが、ファミコン版ではハードウェアのスクロール機能を使用しており、残念ながら多重スクロールは一切ありません。その分スクロールはスムーズで、ゲームの動作速度は原作より速めになっています。鬼火の宝珠の特殊なスポット処理など削られた部分は多々ありますが、グラフィックのカラフルさはX68K版やMSX2版に近く、背景の美しさという点では結構再現されているという印象です。
 イース3のもう一つの大きな売りであるアクション性については、下突きを出すのにジャンプボタンと攻撃ボタンの両方を押す必要があり、原作より出しづらくなっていますが、操作性全般はとても良好です。敵キャラの同時出現数は減っているのですが、それに合わせてバランス調整がなされており、適度な難易度が保たれています。敵キャラと地形の判定も行われており、この点ではSFC版よりも快適にプレイできます。ボス戦についても、可能な限り原作が再現されています。ガルバラン戦はX68K版の要素も取り入れられています。
 シナリオ面での難点として、アドルのセリフが色分けされておらず誰が話しているのか分かりづらくなっていること、室内の人物のセリフが入室時に一度自動的に表示されるだけでその後は話しかけられなくなっていることが挙げられます。しかしテキストの大幅なカットはなく、ほぼ原作が再現されています。ただしエンディングのグラフィックがほとんどカットされ、アドルの一枚絵のみになっており、エレナが追いかけてくるシーンが存在しなくなっているのは非常に残念な点です。なぜかオープニングにフィーナやリリアの絵が入っているので、せめてその分はエレナにまわしてほしかったです。
 BGMは数曲カットされてはいるものの大半の曲が入っており、総じて良い出来です。なおBGMに関しては88版がベースなのか、X68K版の追加曲はありませんでした。
 全体として、完全移植からはほど遠いものの、それなりに調整が行われており、良作に仕上がっています。イース3らしさという点では、後発のPS2版や、完全に別物となってしまったフェルガナの誓いよりもはるかに良い出来であったと思います。
▲敵は少ないが、操作性は良好。 
 
▲なぜか身長差がかなりある。
 
▲夕焼けのバレスタイン城。
 
▲短剣を持つエレナも健在!



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