イース2

 1とは異なり、アレンジ要素は控えめのファミコン版イース2です。ごく一部のマップが異なるのと、ほとんどのボス戦が別物になってはいますが、シナリオやBGMに関しては原作に忠実な移植となっています。
 グラフィックの綺麗さもかなり再現されており、ファミコンゲームの中ではかなり良い方に入るのではないでしょうか。
 前作と比べて速度がかなり速くなっており、操作性にも問題はありません。
 ただし3MビットROMでも、さすがに完全移植は無理だったらしく、つなぎのマップや、アイテム使用時のテキストなど削っても何とかなる部分が多数削られています。このため本来の意味が分からなくなってしまった部分が多数あります。たとえばジラの家の地下で邪悪な鈴を使ったときに、壁に穴が開くだけで魔物がまったく現れないため、ファミコン版が初プレイだとなぜ壁に穴が開いたのかさっぱり分かりません。
 洞窟等のアドルの視界に入らない通路を表示しない処理や、サルモン神殿の立体交差通路なども無くなっていますが、このあたりはハードの性能的にやむを得ないところかも知れません。スプライトをBGの後ろに表示できないことで重ね合わせがほとんどありませんが、神殿の手すりは後ろを歩けるようになっています。アドルが完全にBGの後ろに表示されるため、壁や床の背面に表示されてしまうのが難点ですが、ここは頑張ったポイントということで評価したいと思います。
 容量的に最も難点だったと思われるのは、多数のグラフィックが必要なオープニングやエンディングですが、不完全ながらも何とか再現されています。絵が減っていて意味はよく分からなくなっているものの、雰囲気は伝わってくるのでファミコンとしてはかなり良い出来でしょう。リリアも一応振り向きます。
 しかし実はファミコン版で一番の欠点は、容量の制約等でカットされた部分よりも、ファイヤーの魔法が非常に使いづらいことの方だと思います。発射したファイヤーがアドルの通行できる所しか通れず、段差や障害物に当たると消滅してしまいます。しかもアドルの半マス上の段に発射されているらしく、壁際で撃つと、撃った途端に壁に当たって消滅してしまいます。このため狭くて複雑な地形ではあまり役に立たず、彫像による誘導も障害物を避けてくれないため原作ほど役立ちません。
 これに対して体当たり攻撃は原作より強力で、壁に向かって十字キーを入れておくと、半キャラずらし扱いになるためか無傷で敵を倒せます。さらには少しレベルが上がると半キャラずらしすら必要なく、敵に正面から当たって行っても反撃されなくなります。このため恐らく大抵のプレイヤーはファイヤーよりも体当たり攻撃を中心にプレイすることになり、原作とはゲーム性がかなり異なってしまいます。
▲オープニングもある程度再現。 
 
▲リリアの振り向きも一応ある。
 
▲本を読むことはできない。
 
▲壁際ではファイヤーが撃てない。
 
▲壁に押しつけると楽勝! 

 データ量的に無理だった部分は仕方ないのですが、せめてイース2のアクション性の中心であるファイヤーの使い勝手だけは再現して欲しかったところです。とは言え、ファミコンに何とかイース2を移植した、という一点だけでも本作には十分に価値があると思います。


ファミコン版 攻略本
アマゾンで購入の場合はご利用ください。
 
 
inserted by FC2 system