英雄伝説 零の軌跡

 PSPで登場した英雄伝説の新シリーズ「零の軌跡」です。新シリーズとは言っても、世界観としては空の軌跡シリーズの続きとなっており、旧作でおなじみのキャラクターも少し成長した姿で登場します。

 システム全般は空の軌跡シリーズのものを踏襲していますから、前作までをプレイしていれば違和感なくプレイできるでしょう。戦闘に関する大きな変更点はマップ上でのアクション要素が加わったことです。マップ上で攻撃することにより、敵の動きを一瞬止めたり、背後から攻撃して気絶させたりすることができます。背後から敵に接触することで先制攻撃扱いとなるのはこれまで通りですが、気絶させてから接触した場合は一斉攻撃やクリティカルによってさらに優位な状態で戦えるようになります。マップ上での攻撃でダメージを与えることはできませんが、レベル差が大きくなれば戦闘画面に入らずに敵を倒すことも可能となります。

 本作のシナリオ面での大きな特色となるのは、旅をする物語ではない、という点でしょう。主人公はクロスベル市の警察官であり、物語の舞台は常にクロスベル市を中心としたものになっています。空の軌跡のように舞台となる地域を順次移動していくというストーリーではありません。そのためかクロスベル市は非常に巨大な都市になっており、建物内を除いても15程度のマップで構成されています。その分、住民の数も多く、市外の施設も含めてセリフを一通り聞いて回ると1時間程度はかかってしまいます。軌跡シリーズでは、たびたび住民のセリフが一斉に変わるので、クリアまでにかかった90時間のうち大半はこのセリフを確認していくための時間だった気がします。クロスベル市の地図を入手してからは一覧で選択して移動できるようになりますし、市外へはバスで簡単に移動できますが、それでもなおセリフを確認する作業が膨大すぎるので、もう一工夫が欲しいところです。
 また舞台となる地域が変化しないことに加え、他の支援要請(従来のクエスト)と同列に並んでいる特定の支援要請(区別は付くようになっています)を終えると時間が進行したことになるシステムのため、メインストーリーという感覚がやや希薄となってしまい、終盤近くまではあまりストーリーが進展した感じがないのが残念なところです。とは言え終盤での盛り上げ方はさすがの一言でした。せめて中盤あたりから、もう少し盛り上がってくれれば申し分ないのですが……。
▲クエストは支援要請という名前に。 
▲おなじみの戦闘システム。
▲市内は地図から移動可能。
▲市外へは徒歩かバスで移動。

 クリア後にはポイントを使ってギャラリーや二週目への引き継ぎ要素を追加できるようになっており、二週目前提の難易度も用意されています。イースSEVEN同様、Xボタンでイベントの早送りが可能なので、二週目も快適にプレイが可能です。
 全体的に、一作を長く楽しみたいタイプの方にオススメの作品と言えると思います。

 
 
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