YS SEVEN

 近年、ファルコムのメインハードとなっているPSPで、ついに登場したイース7です。
 まず本作最大の特徴は、イース・シリーズの特色であった短編的な規模ではなく、従来よりもかなりのボリュームアップが図られている所です。筆者はノーマルモードでの初回プレイで、クリアまでに約40時間かかりました。個人的には従来のように10時間台でクリアできる程度が好みなのですが、一般的にはボリュームの少なさがイースの欠点として挙げられることが多かったので、これは改善点と言うべきでしょう。

 本作のストーリーは、イース1の説明書にアドルの代表作として挙げられていた「アルタゴの五大竜」に基づくものであり、これでアドルの冒険のうち主要なものは最後ということになります。このため、これ以降は新作が出たとしても、比較的有名ではない冒険日誌ということになってしまいます。もう少し「アルタゴの五大竜」は温存しておいた方が得策だったような気もします。とは言え、本作のシナリオはアドルの冒険日誌の代表作に十分ふさわしいものでした。
 ストーリーを楽しむ上で少し気になったのは、人物画と、アドルのセリフ、多用される難しい言葉です。
 人物画はヘタとまではいかないものの、ドギの口の大きさ等、やや癖が目立つのがマイナスポイントでした。
 また、アドルのセリフが無いのは以前からですが、本作ではパーティーでの会話があるためか、アドルのセリフを無理に説明文へ置き換えているのがとても不自然でした。もともと初期のイース・シリーズにはアドルのセリフがあったのですから、このようなことをせず、普通に会話をさせた方がはるかに盛り上がると思います。
 難しい言葉の多用については、イース2エターナルや6の頃から気になっていました。若い頃のアドルは難しい言葉をあまり知らないでしょうし、プレイヤーに対しても不親切だと思います。一般的に使われないような単語は控えてほしいです。どうしても使いたいなら、会話の中で単語の意味を誰かが説明するなどの工夫が必要でしょう。

 システムは「イース6」や「フェルガナの誓い」の延長線というより、ほぼ別物という感じです。特に基本操作からジャンプが無くなったこと、パーティー制が導入されたことが本作の特徴となっています。他にスキル・EXTRAスキル・合成などの新要素があり、システムを理解するまでにやや苦労しました。これに伴い、操作もかなり複雑なものになっています。PSPの画面の小ささ、動き回るパーティーキャラ、派手な画面効果などが相まって、操作キャラを見失ってしまうことも多く、混戦ではなかなか的確な操作をすることが難しいかも知れません。それでも勝てないわけではないので、難易度のバランスは的確なのでしょう。とは言え、システムは全体的にもう少しシンプルなものにした方が良いと思いました。
▲アドルのセリフは説明文で置換え
▲パーティー制の導入
▲素材を使ってアイテムを合成
▲ボス戦ではキャラを見失うことも
▲EXTRAスキルの画面効果

 細部で目新しい点としては、近くに敵がいると配置アイテムを取れないようになっています。これにより、戦闘を避けてアイテムだけ集めるようなプレイがある程度防止されています。
 他に、イベントシーンを早送りできるようになっているのが目新しいです。難易度が複数用意されているので、再プレイ時には特に効果を発揮するでしょう。

 幾つか欠点と思われた部分を取り上げましたが、全体として完成度は非常に高く、イース・シリーズの中でも傑作の部類に入ることは間違いないでしょう。このままPSP版のみというのは惜しいので、ぜひPCやPS3などへの移植を行ってもらいたいです。

 
 
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