ファルコム海外プロデュース作品第一弾
          ラプソディ
西風の狂詩曲
The Rhapsody of Zephyr


ストーリー  ★★★★★ 
システム  ★★☆☆☆
音楽  ★★★★☆
グラフィック  ★★★★★

無実の罪、友人の偽証、そして最愛の人の喪失…。
やがてゼフィール・ファルコンによってインフェルノ監獄から救出される主人公シラノ。
魔剣アシュラを手にした彼は、復讐のため旅立ちます。
果たして彼の憎しみの結末は…。



 本来このソフトはSOFT・MAX社が韓国で販売していたRPGです。
 日本語版の制作に際して、日本ファルコムによって人物画の全部と、システムの一部に手が加えられています。 物語は「モンテ・クリスト伯」を原案としたものですが、一部の設定を除けばさほど「モンテ・クリスト伯」の影響は感じられません。 最も大きな共通点は主人公の復讐の物語だということでしょうか。
 ゲーム終盤の選択により、ストーリー展開はいくつか用意されています。 シラノがどんな結末を迎えるかは、プレーヤーの選択しだいなのです。 ストーリーは非常に良くできており、特に終盤にはプレーヤーを引き込む力があります。 ただし、本来、シリーズ物の外伝であるためなのか、設定が複雑極まりなく、 最初のうちは物語背景を理解するのが大変かもしれません。
 原作をプレイしたことがないので、システムがどの程度改善されたものなのかはっきりしませんが、 それでも操作性に関する限り、快適とは言いがたいものがありました。 最も問題なのが、マウスでのプレイを前提としており、キーボードは一部の操作しか対応していない点です。 パッドにいたっては全く対応していません。
 それだけならまだいいのですが、人物と話すときに必ず相手をクリックしなければならない、というのは明らかに操作設計の問題点です。 しかもこのゲームでは街にかなりの人々が歩き回っており、セリフを読んでいる間も、彼らはずっと高速で動き回っています。 全員の話を聞こうとすると、相当の労力が必要です。 セリフが一回では表示されず、数回話しかけなおさなければならない、 というのも不快感に一役かっているような気がしてなりません。 原作の操作法を否定する気はありませんが、イースのような体当たり式のシステムと切り替えられるようにしていただきたかったです。
  BGMはすべてWAVEファイルで収録されています。質はかなり高いほうでしょう。 ですが、この部分に関しては全くファルコムは手を入れていないようなので、「ファルコムらしさ」を求めることはできません。
 最後にこのソフト最大の売りであるグラフィックですが、確かに美しいです。 特に背景グラフィックはゲームでここまで表現できれば十分でしょう。 (ただし、障害物の当たり判定がグラフィックのレベルに対応しきれていないような…) ですが、マップはどうやら英伝4のように、パーツのつなぎあわせで作られているのか、同じ形の場所によく出くわします。 まぁ、英伝4ほどではないのでさほど気にはなりませんが。
 重要シーンで用いられるムービーも、黒い横線が1ラインおきに入るのと、日本語の表示のタイミングがイマイチな以外は素晴らしかったです。
  全体として最高傑作とまでは行かないものの、質の高いソフトです。 システムと設定で、最初のうち戸惑うかもしれませんが、ぜひプレイしてみてください。
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