「カナンの大渦」をめぐるアドルの冒険を描いたイースVIが、ついにPS2に移植されました。
タイトルから「VI」がなくなってはいますが、基本的にPC版を忠実に移植したものとなっています。
発売前に雑誌に収録された体験版ではBGMが違っていたため、サウンド面が最大の不安要素でしたが、製品版ではPC版と同じ曲になっていました。
システムやマップ、シナリオなども特に大きな変更はなく、PC版そのままの感覚でプレイすることが出来ます。
完全移植と考えて差し支えないでしょう。
フルボイスということで、すべてのセリフに音声がついています。元々、村や町のキャラクターたちのセリフに力の入った作品でしたので、声が入ったことでより一層存在感が増しています。しかし惜しいのは、テラやオルハというヒロイン級の声優さんがやや迫力不足な感じがあることです。それ以外のキャラは、かなり良い感じです。ちなみにゲーム中のアドルにはセリフはありません。
新マップは、本編に影響を及ぼさない程度になっています。とあるアイテムによって新マップへ挑戦することができ、クリアすると経験値などのご褒美がもらえるというものです。エターナルストーリーの夢の世界とは違い、設定的には本編に絡んだものですので、違和感はないと思います。しかし敵キャラは基本的に使いまわしなので、オリジナルのボスなどが追加されているともっと良かったかもしれません。
海外向けの戦略なのか、オープニングやエンディングの一部が3Dのムービーになっています。イース・シリーズでは景色や人工物の3Dムービーはありましたが、人物を3Dムービーで表現したものはこれが初めてでしょう。やはりアニメの方が良かったとは思うものの、意外に違和感は少なめです。アドルやテラといった若いキャラはどうしても顔が似ているとは感じないかもしれませんが、ラドックなど大人のキャラはうまく作っていると思います。実写映画化されたらこんな感じかもしれませんね。
目新しいものとして「チート」というモードがあります。何らかのコマンドを入力することで、それぞれ異なる結果が得られるようです。公式サイトで一部が公開されていたりしますが、まだあまり多くは判明していません。もっと情報がほしいところです。
エターナルストーリーはロードのタイミングが悪く、しかもそれに伴って画面表示が乱れるという問題がありました。些細な点とは言え、ハードディスクから瞬時にロードするPC版とは異なり、ゲームのテンポが崩れプレイヤーのストレスの要因となる部分です。本作にはそういった「手抜き」が一切見当たりません。こうしたことから、非常に丁寧に開発したということが伝わってきます。イースの他社移植では、ハドソン以外になかなか見られなかった姿勢です。さすがはコナミというところでしょうか。
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