プロ野球SLG評価詳細
(野球道シリーズ)

野球道4    Windows95    日本クリエイト
 データは非常に細かく、様々なイベントが発生するのは良いのですが、それらがうまく機能していないというのが大きな難点です。 
 たとえば、選手から休ませてほしいと言われて了解したのに普通に試合に出てたり、FA選手の交渉時に希望は年棒○億という情報があってもほとんどの場合、年俸100万の5年契約で獲得できてしまったり、などなど……。 
 試合においても「打撃経験」「守備経験」「走塁経験」というパラメータがあり、能力が高くても経験がないと力を発揮できないというアイデアは良いのですが、一軍選手でも経験がEとかFが多数いて草野球レベル以下の試合になってしまい、結果的にリアリティを損なってしまっています。 
 全体的に、甚だしい未完成品という印象を受けました。 (これは某メーカーの影響でやむを得ない状況だったようですが……) 
 目指しているシステムは非常に優れていると思うので、あとは全体の完成度を上げ、バランス調整さえしっかり行えば、完璧なプロ野球SLGになっていたと思います。 
 次回作にかなり期待していたのですが、野球道21は全然違うゲームになっていたのが残念です。 
 野球道4のマイナーチェンジで構わないので、ぜひ野球道5を作ってほしいものです。
COM思考(試合)
試合の采配は、よくできていると思います。代打や投手交代も積極的に行いますし、無茶苦茶な采配もありません。
COM思考(ペナント)
COM思考(補強)
選手データ
野球道3では球種が少なく、シンカー、ナックルなどが存在しないのが不満でしたが、今回はデータが非常に詳細になりました。また特性というシステムによって、選手の性格や特徴をうまく表現しています。ただ、試合であまり生きていないような気はしますが……。
選手数
基本的に二軍選手まですべて網羅されており、保有選手の最大数も現実以上に多くPCゲームの特性が活かされている感じです。ただ残念なのは、二軍の試合がなくなってしまったこと。野球道3では二軍の成績を見て昇格を決めるのが楽しかったので、これはあってほしかったです。
選手成長
シーズン中のコーチの指導による成長はわずかですが、キャンプで指導した選手は一気に成長します。上限なく成長するようですが、年齢によって成長の仕方がかなり変わります。
ドラフト
高校野球道のデータをコンバートして新人選手にすることができたり、指定した地域にスカウトを派遣して新人を探すなど、システム的には良くできているほうです。ですが、1年目の最初から発見されている新人があまりにもすごすぎます。これは、「勝ち抜き王座決定戦」などからコンバートされた選手とのことですが、なぜ1年目にまとめて入れちゃったんでしょう。しかも39人も……。おかげで、2年目からの新人がクズにしか見えなくなってしまいます。
トレード
FA
外国人
試合システム
せっかくの細かな選手データが、試合でほとんど生かされていません。特にまずいのが「守備経験」「走塁経験」です。経験が低いと、まずいプレーをしてしまうというアイデアは素晴らしいです。しかしいくら経験が低いとは言え、100パーセントまずいプレイしかしない、というのはリアリティがなさすぎです。経験の低いファーストはファーストゴロでベースカバーを確認もせずに一塁へ送球します。このため、ファーストゴロの大半はヒットに……。走塁経験の低いランナーは、笑えるような走塁をひたすら見せつけてくれます。結局、酷い守備と、酷い走塁が結果的に相殺されてバランスがとられているという、リアリティのない試合が展開されてしまいます。せめて選手の大半が経験が高いのなら良いのですが、なぜかほとんどの選手は低いです。アイデアは良いのに、本当に惜しいです。
野球道4の部屋(かなり昔に作ったページですが、もし興味があれば……)

スーパー野球道   スーパーファミコン    バンプレスト

 あらゆる面でプロ野球シミュレーションゲームとしては、完成度の低い出来となっています。
 マジックの表示もなく、優勝の表示は全試合が終了してからのため、いつ優勝チームが決定したのか分からないというのはひどすぎると思います。
 トレードがシーズンオフにしか出来ない、守備交代時に控え選手の守備適性が表示されない、退場(オート)にするとほとんど采配をしない、投手の打順が9番で固定、自動で日程を進める機能がないなど、他にも色々不満点が目に付きます。


野球道 THE WAY TO GLORIA   X1    日本クリエイト

 シリーズ最初の作品であるPC-88版からの移植ですが、後援会や選手との付き合いの要素や、連敗中にオーナーにお叱りを受けるなど、試合以外のイベントも取り入れられており、後の野球道4の原点となるような作品となっています。
 球団名は架空ですが変更が可能で、選手名は実名です。

 ただ肝心の試合のシステムがあまり面白くありません。どうやら投球や打撃の結果は、一球ごとに判定しているのではなく、投手が一球目を投じる前に、配球や、打者が何球目でバットを振るかが決まるようです。恐らく、この仕組みのせいだと思いますが、打席の途中で投手交代や代打ができないという独特のルールになっています。
 また投球や打撃の結果は、あらかじめ用意されたパターンの中から選択しているだけのようで、まったく同じ内容をたびたび目にすることになります。例えば、初球と2球目が空振りで、3球目がボールというパターンだと、その後は4球目ボール、5球目で見逃し三振となります。パターンがあまり多くないことを逆手にとって、三振しそうなときに進塁打狙いなどの指示を与えて強制的にバットに当てさせたり、相手に打たれそうなときにウエストを指示して空振りを取ることで、試合を優位に進めることが可能です。
 ただ試合は総じてあまり面白くないのでオートに任せてしまいたいところなのですが、退場コマンドを使うと、それ以降オートになるのではなく、一切采配が行われなくなってしまいます。投手も野手もそのときのメンバーのまま最後まで行ってしまうので、試合の最初から退場すると勝率はかなり低くなるのが難点です。
 また、試合開始時の初期オーダーが、前の試合終了時のままになっているため、間違って投手を連投させてしまう危険があります。

 シーズンオフにはドラフトとトレードがあるものの、システムの出来は良くありません。ドラフトは新人が5人しかおらず、どうしても他の球団と競合してしまうため、誰も獲得できない確率のほうが高いような仕組みです。トレードはこちらで欲しい選手を指定すると、相手からこちらの選手が指定され、こちらが承諾すれば成立する、という流れで利用しやすい仕組みなのですが、トレード画面では成績も能力も確認できないため、シーズン中に成績を確認するなどしてあらかじめ目星を付けておく必要があります。

 そして、本作の大きな欠点は日本シリーズが無いことです。せっかく両リーグ同時進行するシステムになっているのに、非常に勿体ないです。

 シリーズ最初としては頑張っている部分も多いものの、全体として完成度はかなり低い作品と言わざるを得ません。ただ最大の難点は、TAKERU専売だったためか、現在なかなか入手ができないことかも知れません。


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